1929年から1931年にかけてル・コルビュジエによって設計されたフランス・ポワシーにある近代建築の傑作。コルビュジエが提唱する「5つの近代建築の原則」を体現したこの邸宅は、ピロティで建物を持ち上げ、水平連続窓で外部との視覚的な一体感を生み出しています。さらに、自由な平面と立面、屋上庭園を特徴とし、内外の境界を曖昧にして自然との調和を追求しました。白くシンプルな外観は、ミニマリズムと機能美を象徴し、当時の装飾的な邸宅とは一線を画す革新的な設計でした。
サヴォア邸はモダニズム建築の重要な作品であり、現在は2016年に「ル・コルビュジエの建築作品:近代建築運動への顕著な貢献」として、ユネスコ世界遺産にも登録されています。そのデザインは、後の建築やインテリアデザインに大きな影響を与えました。
サヴォア邸を訪れる際に注目すべきポイントはいくつかありますが、まず外観のシンプルな美しさに。一見シンプルな白い箱のように見えるものの、その中に革新的なデザインと機能性が詰まっています。
また、サヴォア邸の特徴して、内外がシームレスに繋がる空間体験が挙げられます。大きな窓からは外の景色が一望でき、室内にいながらも自然の中にいるかのような感覚を味わうことができます。特に、2階のテラスから見渡す周囲の風景や、そこから3階の屋上庭園に続くスロープは、建物が自然と一体となる空間デザインの素晴らしさを体験できる場所です。スロープをゆっくりと歩くことで、光の変化や外の風景が徐々に開けていき、空間の広がりと開放感を味わうことができます。
屋上庭園もまた、ル・コルビュジエの建築哲学を象徴する場所です。都市化が進む中でも自然との共生を大切にし、屋上に庭園を設けることで、建物が自然の一部として存在できることを示しました。サヴォア邸を訪れる際には、こうした自然と建築が織りなす空間の美しさと調和を感じ取りながら、ル・コルビュジエの革新的な建築思想に触れることができます。
名称:サヴォア邸(Villa Savoye)
営業時間:10:00〜18:00(季節によって異なる場合あり、事前確認を推奨)
料金:大人 9ユーロ(18歳未満は無料)
住所:82 Rue de Villiers, 78300 Poissy, France
アクセス:パリ中心部からRER A線でポワシー(Poissy)駅まで約30分、
駅からバス(50番「La Coudraie」行き)で約10分(Villa Savoye バス停下車)
URL:https://www.villa-savoye.fr/