[フランス・ボルドー紀行]古都の息吹とワインの真髄を探す旅

MATSUMOTO | 29.Aug.2024 | フランス

パリを離れ、世界遺産の街「ボルドー」へ

8月の土曜日の朝。パリの街はすでに目を覚まし、週末の穏やかなリズムを感じさせながら静かに動き始めていました。空気は冷んやりとしていて、特にこの季節、朝晩の涼しさが一層際立ちます。

例年であればバカンスシーズンの真っ只中。多くの人々が都会を離れ、海辺や田舎で過ごすはずですが、2024年はオリンピックイヤー。世界最大級の祭典がまさに開催中のパリの街並みは、バカンスとオリンピックの高揚感が交錯し、独特のエネルギーが漂っていました。

パリから南西におよそ500キロメートルにあるボルドーへ向かうため、高速鉄道TGVが出発するモンパルナス駅へと向かいます。

パリ東部にあるサン・マンデ駅(Saint-Mandé)からメトロに乗り込むと、オリンピックという特別な期間を楽しむ週末の空気がそのまま車内に流れ込んでくるのを感じます。どこかせわしなく、しかし期待感に満ちたパリを今から離れるという非日常の感覚をどこか楽しんでいる自分もいました。

モンパルナス駅(Gare Montparnasse)に着くと、広大なコンコースには旅行者たちがひしめき合い、様々な目的地へと向かう列車の発車を待っていました。私は4人掛けの向かい合わせの席に座り、旅の期待感が溢れ賑やかに会話する家族の向かいでぼんやりと車窓を眺めていました。定刻通り列車は出発すると、車窓から見える風景は、パリの都会的な景色から次第に穏やかな田園地帯へと移り変わっていき、まるで一瞬にして時間を超えるかのような感覚になりました。

列車に揺られること約2時間。車窓からフランスの穏やかな田園地帯の景色を楽しんでいるうち、昼前にはボルドーの玄関口、サン=ジャン駅(Gare de Bordeaux-Saint-Jean)に到着しました。

ボルドーの玄関口、サン=ジャン駅(Gare de Bordeaux-Saint-Jean)は往来する多くの人々で賑わっていました。

駅に降り立つと、ボルドー特有と思われる柔らかな光が周囲を包み込み、パリとは異なる空気を肌で感じることができました。

18世紀に貿易の中心地として栄えたボルドーは「月の港」とも呼ばれ、半月状に湾曲したガロンヌ川沿いには歴史的な建物が立ち並んでいます。その街並みからは、これらの建物が見守ってきたであろう数百年の歴史がフラッシュバックし、まるで過去と現在が静かに対話しているかのようです。

駅からトラムに乗り込み、市街地へと向かいます。トラムの窓から見える街並みは、初めて来るのにどこか親しみやすく、古い友人の家に帰ってきたような安心感を覚えました。大海原と繋がる川の流れが、何世代にもわたって人々を迎え入れてきた証しなのでしょうか。

歴史を感じさせる石造りの建物に囲まれたホテルにチェックインを済ませた後、夕方まで市街地を散策することにしました。

はじめに向かったのは、トリアングル・ドール地区(Triangle d’Or 黄金の三角)と呼ばれる、ランタンダンス広場(Cours de l’Intendance)、ジョルジュ・クレマンソー広場(Cours deGeorges Clemenceau)、トゥルニー通り(Allée de Tourny)を結んだ三角地帯で、壮麗な建造物が集中する文化地区として知られるエリアです。

グラン・テアトル(Grand Théâtre)はボルドーの中心部に位置し、街の象徴的な建築物の一つです。

サン・レミ通りと交差する歩行者天国「Saint-Catherine(サン・カトリーヌ通り)」は、石畳の歩道が1km以上続くボルドーの目抜き通り。

路地の隙間からボルドーのランドマークの一つサンタンドレ大聖堂の塔が見られます。

ホテルを出て、通りを抜けると大きな広場に出ました。最初に目に飛び込んできたのがボルドー国立オペラ座、グラン・テアトル(Grand Théâtre)です。堂々としたその姿は、まるでこの街の歴史と文化の豊かさを象徴しているかのようです。大理石の柱と華麗なファサードが、街の風景に溶け込みながらも際立っていて、その壮麗さに思わず足を止めて見入ってしまいました。

周囲には、服飾品やアクセサリーの高級店が軒を連ね、洗練されたアイテムが並ぶブティックが建ち並んでいます。華やかな高級ブランド店から庶民的なレストランまでが調和しながら共存しているこの通りは、雑多なようでいて、統一感があり、庶民的でありながらも品格を感じさせる魅力を感じます。

迷路のように入り組んだ路地を彷徨い歩いているうちに、ボルドーの象徴の一つともいえるサンタンドレ大聖堂にたどり着きました。

ボルドーで最も有名な教会の一つ、サンタンドレ大聖堂。2つのそびえ立つ塔はそのシンボル。

壮大なゴシック様式のファサード、天へと向かって伸びる2つの塔が印象的で、細部にまで彫刻された美しい装飾に目を奪われます。北側の「王の門」に施された「最後の審判」の彫刻は、時代を超えて語りかけてくるような迫力があり、荘厳さとともに畏怖の念さえ感じられます。

北側の「王の扉口(Portail Royal)」に作られた彫刻は13世紀ゴシック様式の傑作とされています。

重厚な扉を押して中に入ると、ひんやりとした空気とともに、厳粛な雰囲気が体を包み込みました。

ちょうど日曜日の集会が行われており、荘厳なパイプオルガンの音色に乗せて、聖歌が響き渡っています。

その音は大聖堂の高い天井に反響し、まるで天使の合唱を聞いているかのような神秘的な感動を覚えました。音楽に合わせて祈る人々の姿に、信仰の力強さと美しさを感じ、心が浄化されるような思いに満たされました。

内部は天井の高いゴシック空間が広がっています。

定期的な礼拝のほか、オルガンリサイタルなども開催されています。

ホテルへ戻り休憩した後、午後20時過ぎ、日が沈む頃を見計らってブルス広場に足を運びました。

広場に到着すると、水鏡(ミロワール・ドー)が静かに広がり、その水面には、日暮れと共に深いワイン色に染まった空が映り込んでいます。

広場は多くの人々で賑わい、家族連れが水に足を浸して楽しむ姿があちこちに見られた。子供たちの笑い声が響き活気を帯びていく。風が吹き、水面が揺れるたびに映し出された街並みが揺らめき、まるで生きた絵画のような光景が広がります。そんな瞬間を目に焼き付けながら、ボルドーの夕暮れの風情に浸っていました。

2006年に誕生した水鏡(ミロワール•ドー)。反射池としては世界一の大きさ(3,450 m²)。市民の憩いの場として賑わっています。

水鏡がボルドーの様々な季節の色を映し出します。

豊穣と伝統の交差点、メドックを目指して

翌朝、ボルドーの青空はどこまでも澄み渡り、まさに雲一つない晴天が広がっていました。

気温はすでに30度を超え、午後には35度以上に達する予報でした。フランス南西部に位置するボルドーの真夏の陽射しが容赦なく降り注ぐ中、事前に予約していたメドック地区のシャトー巡りツアーに参加するため、集合場所へと向かいました。

英語の不得手は私は、本当ならば日本語のツアーに参加したかったのですが、日曜日ということもあり、多くのツアーが休業していたため、日曜日も受け付けていた欧米人向けの英語ツアーに参加することにしました。

ツアーの集合場所に着くと、参加者は私を除いて全員アメリカからの旅行客でした。リラックスした雰囲気の中、流暢な英語を話す若いフランス人のガイドさんは早速、メドック地区の紹介から話してくれました。

メドックは、ボルドーの中でも特に高名なワイン産地で、ガロンヌ川の「左岸」に位置しています。

左岸はカベルネ・ソーヴィニヨンを主体とした力強いワインで知られ、特にメドック地区は、ボルドーの中でも最高級のワインを生産する地域の一つです。メドックの土壌は砂利質で水はけが良く、ブドウの根が深くまで伸びるため、強い骨格と長期熟成に耐えるワインが生まれるのだそうです。

ワインといえばフランス、その中心に位置するのがボルドー。そして、そのボルドーの中でも、特に名高いメドック地区は、ワインの聖地とも言える場所。

メドックの畑を巡ることで、現地でしか味わえない、ボルドーワインの本質に迫る体験への期待に胸が踊りました。

シャトー・プリュレ・リシーヌ(Chateau Prieure Lichine)/メドック地区

ボルドーから車を走らせること約1時間。最初に訪れたワイナリーは、メドックの中でも特にエレガントで繊細なワインを生産することで知られるマルゴー地区にある「シャトー・プリュレ・リシーヌ(Chateau Prieure Lichine)」でした。

このシャトーは、4世紀以上に渡る非常に長い歴史を持つシャトーで、その荘厳な佇まいが訪れる者を魅了します。シャトーのガイドさんの説明を聞きながら、私たちは古い石造りの建物を背景に広がるブドウ畑を歩き、自然と人間の技が生み出すワインの神秘に思いを馳せました。

フランス語で「小修道院」という意味のプリュレと、以前オーナーであったアレクセス・リシーヌ氏の苗字を取って名付けられた格付け4級シャトー。

古い石造りの建物やブドウ畑が広がる光景が、まるで時間を遡ったかのような錯覚を与えます。屋外の暑さがじわじわと体に染み渡る中、シャトーの建物のひんやりとした石壁が心地よく、短い休息の瞬間を与えてくれます。

貯蔵庫の見学では、樽に静かに眠るワインが時を超えて成熟していく様子に思いを馳せました。

歴史と自然が織りなすこの場所の空気を吸い込みながら、ここで生まれるワインが持つ特有の風味や奥深さが、どのようにして形作られるのかを肌で感じることができました。

左岸の土壌は排水性が高く保温効果のある砂礫質(砂利)。

ひんやりとした貯蔵庫では、ほのかにバニラのような甘い香りが漂います。

大変古いビンテージも眠っているワインの保管庫。

試飲させてもらったワインにはこのシャトーのファーストラベル、セカンドワインに加え白ワインも。

シャトー・シラン(Chateau Siran)/メドック地区

シャトー・プリュレ・リシーヌから南東方向へ車を走らせ約5〜10分ほどで、次の目的地であるシャトー・シラン(Chateau Siran)に到着しました。

メドックの最南端に位置するシャトー・シランは、88ヘクタールに及ぶ敷地のうち38ヘクタールがブドウ畑です。

シャトー・シランのワインはメルロー主体で、メドックの他のシャトーに比べて、柔らかでありながら、しっかりとした味わいが特徴だそうです。

ピンク色の建物が印象的なワイナリー。

このシャトーでは、ボルドーの伝統的な技法と現代的な醸造技術を巧みに融合させた、リッチで複雑なワインを生産しています。特に、樽での熟成にこだわり、長期間寝かせることで、ワインに深みと芳醇なアロマを与えています。

モダンなワインセラーには数多くのワインが眠っています。

112年前のワインも!

テイスティングでは、シャトー・シランの代表的なワインを楽しむことができました。グラスに注がれたワインの色は、深いルビー色で、光にかざすと美しい輝きを放ちます。

シャトー・グラン・コルバン(Château Grand Corbin)/サン・テミリオン地区

翌朝、前日の快晴とは打って変わって、空は重たく灰色に覆われ、今にも雨が降り出しそうな曇り空が広がっていました。

空全体が低く垂れ込め、街にどこか落ち着いた雰囲気を与えているようでした。

この日は、午前中に右岸のサンテミリオン、午後に再び左岸のメドックを巡る予定です。2日目は日本人のガイドさんによるツアーだったので、言語の壁を感じることなく、より深い理解が得ることができました。

サン・テミリオンは、ボルドーの右岸に位置するワイン産地として知られています。

メルローを主体としたワインが特徴で、柔らかく果実味豊かな味わいが愛されています。メドックのカベルネ・ソーヴィニヨン主体の力強いワインとは対照的に、サン・テミリオンのワインはよりエレガントで親しみやすいものが多いです。

ボルドー市街地から車を走らせて1時間ほど。我々ツアーは「シャトー・グラン・コルバン(Château Grand Corbin)」に到着しました。

サン・テミリオンとポムロールの境界線に位置する銘醸シャトー。

このシャトーは、サン・テミリオンの中でも特に有名な「シャトー・シュヴァル・ブラン」や「シャトー・フィジャック」の近くに位置しています。シャトー・グラン・コルバンは、古くから続く家族経営を今もなお貫いており、その伝統と誇りがワイン造りのすべてに反映されています。シャトーの敷地に足を踏み入れると、どこか温かみのある空気が流れ、家族が一丸となって守り続けるワイン造りの精神が感じられました。

右岸の土壌は保水性が高く冷たい粘土質。左岸の畑に見られた石ころは見当たりません。

発酵桶はコンクリート製。

熟成樽の貯蔵庫。

メルロー主体のワインで、果実味豊かな味わい。

試飲(テイスティング)といいながら、しっかりとグラスに注いでくれました。

サン・テミリオン散策 〜美しい中世の街並みが残る街〜

その後、私たちはサン・テミリオンの市街へ移動し散策と昼食を楽しみました。

石畳の道が続くこの街は、まるで中世の時代にタイムスリップしたかのような趣があります。

サン・テミリオンは、8世紀に隠者であった聖エミリオンがこの地に住んだことに由来し、その後、修道院が建てられ、ワイン造りが発展していきました。街全体がユネスコの世界遺産に登録されており、その歴史と美しさは訪れる者を魅了してやみません。

入口の駐車場から世界遺産サン・テミリオンのシンボル、モリノス教会の鐘楼が見えます。

高台からサン・テミリオンの街並みをまるごと一望することが出来ます。

石灰岩を切り出したブロックで立てられた建物が並ぶ街並み。

昼食を終えた後、私は再び左岸のメドックへと向かいました。サンテミリオンからメドックまでの移動には約1時間を要し、その間、車窓からは広大なブドウ畑が続く風景を眺めながら過ごしました。

シャトー・マルゴー(Chateau MARGAUX)/メドック地区

午後最初に訪れたのは、メドック・マルゴー地区の象徴ともいえる「シャトー・マルゴー」でした。

5大シャトー(シャトー・ラフィット・ロートシルト、シャトー・ラトゥール、シャトー・マルゴー、シャトー・オー・ブリオン、シャトー・ムートン・ロートシルト)は、1855年のパリ万博に合わせてナポレオン3世の命令で行われたボルドーワインの格付けで第1級に選ばれたシャトーであり、ボルドーワインの頂点に君臨しています。フランスのAOC(原産地呼称統制)制度のもと、厳しい規定に従ってワインを生産しており、その品質と名声は世界的に高い評価を受けています。

ワインラベルでもお馴染みの建物の外観。実際に見るとその優雅な風格に圧倒されます。

秋には美しい紅葉が見られるそうです。

砂利質土壌に入り混じった、石灰質や粘土質の土壌が味わいに陰影を与えています。

階段の下の貯蔵庫にはシャトー・マルゴーの貴重なビンテージが数多く眠っているそうです。

シャトー・シャス・スプリーン(Château Chasse-Spleen)/メドック地区

続いて訪れたのは、「シャトー・シャス・スプリーン(Château Chasse-Spleen)」です。

このシャトーは、マルゴーとサン・ジュリアンの間に位置し、その名前はフランス語で「憂いを払う」という意味を持ちます。

長靴のオブジェは両方とも右足。「売れ残り」というタイトルがついているそうです。

このシャトーの名前の由来には諸説あり、一説には19世紀のフランス詩人シャルル・ボードレールの詩集『悪の華』に登場する表現「憂いを払う」から取られたとも言われています。シャトー・シャス・スプリーンは、格付けシャトーに匹敵するほどのクオリティを誇り、その名は広く知られています。

メドックの中でも最も小さいアペラシオン(原産地呼称)ですが、そのテロワールは並外れた多様性を持っています。砂利質、粘土質、石灰質などが混在する土壌が、豊かな風味と複雑な構造を持つワインを生み出します。シャトー内には、アート好きのオーナーによるオブジェやアート作品が展示されており、そのユニークなセンスがシャトー全体に特別な雰囲気を与えています。

発行桶のタンクはステンレス製。

ワインを熟成させる樽が置いてある貯蔵庫。天井のアートに、オーナーの志向が感じられる。

日本では漫画『神の雫』でも取り上げられたことがあります。

このシャトーのWEBサイトには「「憂いを払う」という意味のこの美しい名を大切にするなら、ノスタルジックな憂いの中に溺れることがあっても、私たちのワインがその憂いを払拭する」とあり、伝統を大切にしながらも常に新しい視点を取り入れていく柔軟さが伺えます。試飲したワインも、まさにそんな姿勢を垣間見ることができる、重厚かつフレッシュな味わいが印象的でした。

シャトー・ラトゥール(Château Latour)/メドック地区

最後に立ち寄ったのは、メドック地区の5大シャトーの一つである「シャトー・ラトゥール」です。

「ラトゥール(Latour)」はフランス語で「塔」を意味します。

シャトー・ラトゥールの名前は、このシャトーにある古い塔に由来しています。シャトー・ラトゥールは、メドック地区のポイヤック村に位置しており、その歴史は12世紀まで遡ります。

5大シャトーの一つである「シャトー・ラトゥール」のエントランス。

シャトーの名前にある「塔」は、中世にこの地を守るために建てられた防衛塔が起源と言われており、シャトー・ラトゥールの象徴的な存在です。この塔がシャトーとワインの強さや堅牢さを連想させ、シャトー・ラトゥールのワインが持つ力強さと長期熟成に耐える性質を象徴するかのように、その名が広く知られるようになりました。

畑の向こう側に復元された防衛塔が小さく見えます。

シャトー・ラトゥールのブドウ畑を前にして、その静寂と調和の取れた美しさ、まるで自然と一体となったような感覚とともに、心なしか畑から漂ってくる甘い香りが印象的でした。その香りは、熟したブドウや太陽に照らされた大地、さらにはラトゥールの歴史そのものが織り成す独特の香りであるように感じられました。

シャトー・ラトゥールの向かいには、メドック一美しいシャトーの一つと言われるシャトー・ピション・バロンが見られます。

総括

一つとして同じワイン、同じシャトーは存在しない。

そのことに改めて気づかされる旅でした。

畑の土壌や気候など、その土地ごとにユニークな特色があります。そして生産者たちは、畑のテロワールを大切にし、歴史や伝統を大切にしながら、自分たちの畑に合った工法を編み出し、保存する樽や容器にもこだわりを見せています。

またボルドーのワインには、ワインの品質と特性を保つために厳しいルールが設けられており、例えば地域特有のテロワールを反映させるために、水や肥料の使用は厳格に管理されているといいます。

AOCの厳しい格付けやレギュレーションにも現れています。これらのすべてが、ワインの多様性を生み出し、それがボルドーワインの味わいを形作っています。その違いや差を楽しむことこそが、ワインを選ぶ楽しさであり、新しい発見への扉を開く機会を与えてくれるのだと思います。

さらに、ワインと食事を組み合わせることで生まれる新たな味覚の発見も、一つの醍醐味といえます。多様性の中からの組み合わせの発見がボルドーワインを楽しむ上での最大の魅力であり、そのこだわりの違いを受け入れることで、ワインとの対話がより深まると言えるのかもしれない。

ボルドーの街が持つどこか深くて穏やかな空気も、長い歴史の中で、自分自身を磨き続けた人々の努力の積み重ねから生まれたものかもしれません。他と比べることなく、自らのワインを追求し続けた結果、ボルドーとボルドーのワインは独自の存在感を放ち、訪れる者の心を静かに魅了し続けるのでしょう。

この旅で訪れたシャトーの風景、そしてワインに込められた歴史と情熱は、ボルドーがなぜ世界のワイン地図において特別な位置を占めているのかを改めて教えてくれました。

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