タイ・バンコクの新商業施設「EMSPHERE(エムスフィア)」は人の流れを変えるのか

MATSUMOTO | 03.Dec.2023 | タイ

バンコクの大動脈スクンビット通りに誕生したタイ最大級の複合施設

2023年12月1日、バンコクのBTSプロンポン駅近くに新しい大規模商業施設「EMSPHER(エムスフィア)」が開業しました。タイの最大級の小売り企業であるTHE MALL GROUP(ザ・モール・グループ)によって運営され、バンコクの新しい観光スポットとして期待と注目を集めています。

エムスフィアは、バンコクの中心地であるスクンビットエリアに位置し、BTSプロンポン駅に直結しています。6階建ての施設は、総面積約20万平方メートルに及び、国内外の多様なファッション店や飲食店が入居しています。

若者層を中心としたアクティブなターゲットグループのライフスタイルをサポートするために、レストラン、ファッション、イノベーション、ライフスタイル、エンターテイメント(アートミュージック)の5つの主要な要素に焦点を当てて、センター内のフォーマットとアクティビティが開発されています。

タイ人、そして海外からの顧客が交差する「Sleepless Metropolis (眠らない街)」をコンセプトに、1階エリアを午前7時から午前3時まで営業し夜間の生活ニーズに対応しています。

また、注目の入店ショップの一つであるIKEAは、東南アジア初の都市型店舗として、12,000平方メートル以上の敷地に展開しています。

エンポリアム、エムクオーティエに次ぐ、「エムディストリクト(EM DISTRICT)」第三のピース

エムスフィアは、ザ・モール・グループがスクンビット地区で展開する、総面積65万平方メートルの大型商業エリア「エムディストリクト」の一部となっており、同グループは、同エリア内に展開する高級百貨店「エンポリアム」や「エムクオーティエ」に次ぐ重要な商業スポットとして位置づけています。

ザ・モール・グループによると、エムスフィアは、エンポリアム、エムクオーティエとは明確に差別化をしているといいます。

エンポリアムの、都市で例えるとフランス・パリのようなラグジュアリな高級感、そしてイタリアらしいラグジュアリーとユニークなライフスタイルを融合させた世界観のエムクオーティエに対して、エムスフィアはアメリカ・ニューヨークのようなファッション、食、ライフスタイル、エンターテインメントなど、独自のライフスタイルを提案するコミュニティモールをコンセプトとされています。

開業当時にはタイでは希少な高級路線に振り切ったコンセプトの「エンポリアム」

高級路線に加えライフスタイルの要素を組み合わせた世界観を持つエムクオーティエ

BTSプロンポン駅からエムスフィアへ直結するスカイウォークも完成。

エムスフィアは、インダストリアルスタイルをモチーフとしたモダンかつ刺激的な内装が特徴的で、特に1Fにあるフードエリアはニューヨークのチェルシーマーケットを想起させる世界観となっています。

1Fフードエリア

バンコク2店舗目となるSHAKE SHACK

「EMSPHERE(エムスフィア)」がバンコクの人流に与える影響

エムスフィアの開業は、バンコクの人流に大きな変化をもたらすことが期待されています。

まず、バンコクのスクンビット地区に位置し、BTSプロンポン駅に直結という抜群の立地の利便性にあり、多くの人々を惹きつける重要な要素を持ち合わせています。

また、現代的なデザインと革新的なコンセプトを持ち、ファッション、飲食、エンターテインメントの最新トレンドを提供し続けることにより、特に若い世代やトレンドに敏感な人々が新しい体験を求めて訪れることが予想されます。

この施設はザ・モール・グループによるEM DISTRICTの一部であり、既存のエンポリアムやエムクォーティエと併せて、バンコクの小売りとエンターテイメントの新しい中心地としての地位を確立したいという戦略が見えます。バンコクの中心部における人々の動きや活動の中心を、従来のエリアからEM DISTRICTに移行したいという意志が感じ取れます。

インターナショナルなハイブランドや革新的なダイニングオプションを提供することで、国内はもちろん、海外の購買力を持つユーザーを引き付けこのエリアに新しい活気をもたらし、他の観光地やショッピングエリアとの間での競争力を高めることにも寄与することが考えられます。

EM DISTRICTの完成により、「バンコクをASEANの商業とカルチャーのハブに変える」というザ・モール・グループのビジョンがより立体的に表現されたと言えます。

エムスフィアのオープンによってバンコク中心部の集客力がさらに強化され、都市の経済だけでなく、国を超えた地域社会のダイナミクスにどのような影響を及ぼすことができるのか、今後も注目していきたいと思います。

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